勉強部屋
ほがらかな治療院ではスタッフの専門知識の向上のため、毎月いろいろなテーマを設け、全員がそれぞれ「課題レポート」
と称したレポートを作成しています。ただインターネットや書籍を読むだけではなく、調べた内容を自分なりに文章にまとめることによって、
より理解度を深める目的で実施しているものです。
本来は身内の学習のために行っていたのですが、「せっかくだからホームページに載せてしまおう」ということになりました。
取り上げられている題材などもとくに一貫性はなく、スタッフの間で「今度はこれをやろう」と、自由にその時やりたいものをテーマに据えております。
本来公開用に作成されたものではないため、専門用語などがそのまま使用されており、文章も一般の方には少し分かりづらいところも多いのですが、
ご理解いただきたく思います。また、それぞれのスタッフが個別に同じテーマで作成しているため、内容が重複している場合がありますが、
ご承知おきください。
鍼灸院の衛生管理 金城 実 [衛生管理]
鍼灸院の衛生管理 2011年9月
金城 実
鍼灸治療において疾患治療や主訴軽減はとても大事な要素であるが、感染症予防にはとくに注意を払わなくてはならない分野である。文字通り「安全第一」であり、「忙しい」や「時間がない」などの理由でおろそかにしてはならない問題である。しかし、医療現場においての観察調査によると適切な手洗い実施率は30%前後であることが実情であることが分かってきた。
今回は消毒などの衛生管理の基本から鍼灸院においての具体的な感染症予防までまとめることとする。食中毒などの経口感染や流行性感冒などの飛沫感染も重要ではおるが、ここでは鍼治療に伴う血液感染症に特に焦点を絞り進めていく。
【 病原体 】
○ 寄生虫
カイチュウ、サナダムシ、ギョウチュウなど、寄生生物のうち動物に分類されるものである。現代の日本においては、石鹸による手洗いや化学肥料の普及により感染率はだいぶ減少している。しかし、近年の無農薬や低農薬の農作物や、肉や野菜の生食の増加により再び増加の傾向にある。
○ 細菌
核を持たない原核生物に属する単細胞の微生物を指す。形状により球菌(黄色ブドウ球菌・肺炎球菌・淋菌)・桿菌(大腸菌・コレラ菌・サルモネラ菌・結核菌)・螺旋菌に大別される。また、グラム染色によりグラム陽性菌(炭疽菌・ジフテリア菌・破傷風菌・放線菌)とグラム陰性菌に(腸チフス菌・ペスト菌・赤痢菌・大腸菌・コレラ菌)分類され、グラム陽性菌は比較的ペニシリンなどへの感受性が高い。
○ ウイルス
蛋白質の外殻と遺伝子の核酸のみの構造で細胞体を持たない。ウイルスは単独では代謝も増殖も行うことができず、全て宿主細胞に依存している。ウイルスはすべての細胞に感染することができるわけではなく、細胞の表面にあるレセプターが一致する特定の細胞にのみ吸着し侵入することができる。
現在のところ生物や生命の定義が明確に確定されていないため、一般的に生物の構成単位は細胞を持ち自ら代謝し増殖できるものとされている。それに対しウイルスは細胞体を持たず遺伝子のみの存在であり、代謝や増殖の能力も完全に宿主細胞に依存しているため、非生物との考え方もある。そのため消毒の際にも細菌などのように「死滅させる」と表現せずに、ウイルスに対しては厳密には「不活化する」と表現するのが正しいようである。
【 感染予防 】
「殺菌消毒」などと日常的に混同されて使用されているが、衛生管理の用語を確認しておきたい。
○ 滅菌
病原性に関わらず全ての細菌およびウイルスその他の生命体を完全に死滅または完全除去することであり、いわゆる完全無菌状態にすることである。したがって器具などに行われるものであり、人体に行うことはできない。
しかし、現実的には全ての微生物を死滅させ完全な無菌状態にするのは不可能なため、国際的な基準として滅菌操作後に微生物の生存率が100万分の1以下になっていることを指している。
○ 殺菌
病原性に関わらず全ての微生物を死滅させる行為を言う。殺菌は対象微生物や、死滅させる程度について特に基準はない。
○ 消毒
人体に有害な病原微生物を死滅または除去し無害化すること。
○ 除菌
微生物を物理的に分別して取り除くこと。清拭や手洗いからろ過に至るまで微生物の種類や減少の程度についての基準はない。
○ 抗菌
細菌の増殖を阻止すること。JIS規格では対象は細菌に限られ、真菌は含まれない。
○ 静菌
微生物の増殖を阻止すること。主に低温保存などを指し、対象や程度に規定はない。
○ 防カビ
真菌の増殖を阻止すること。真菌増殖阻止の程度や有効期間についての規定はない。
【 鍼灸院の感染症予防 】
一時期「鍼灸治療用の鍼は非常に細く表面が滑らかなため、エイズやB型肝炎ウイルスが付着することができないため、鍼治療による血液感染は有り得ない。」という全く根拠のない危険な情報が流れたことがあったが、B型肝炎患者への刺鍼後の鍼体からウイルスの付着が確認されている事実をあらためて記述しておく。
また、銀鍼はステンレス鍼より鍼体表面の殺菌効果があることが実証されているが、決して消毒が必要ないというものではない。
○ 手洗い
流水と石鹸による手指洗浄は衛生管理において最も基本的な行為である。食品を扱う者や医療や介護に携わる者にとっては、決して欠かしてはならない行為である。手洗いには、日常的手洗い、衛生的手洗い、手術時手洗いの三種類があるが、治療院で必要とされるのは衛生的手洗いである。
流水と石鹸による手指洗浄の除菌作用は、界面活性作用による汚染物質の剥離作用と手指を擦り合わせることによる物理的除去作用である。除菌洗浄効果は実施時間により変化するとされており、15秒間の洗浄で実施前の10%、30秒間の洗浄で1%、60秒間で0.1%にまで手指に付着していた細菌やウイルスを除去することが可能であるといわれている。調査によると指頭と手背部分の洗い残しが多いとの結果が出ているので、特に注意を払って行うとより効果的といえる。
後述する殺菌や滅菌は細菌やウイルスなどの微生物に対してはとても有効であるが、皮膚や器具に付着した体液や血液などの除去には、やはり洗浄が必要である。手洗い後に消毒を行うことが理想となる。
手洗い後の手指乾燥方法も重要であり、温風乾燥やペーパータオルによる水分の拭き取りが好ましい。タオル等を頻回使用した場合では、洗浄後の手指の再汚染の可能性が高くなっている。
大切な流水による手洗いではあるが実施には時間を要することと、近くに水道設備がないなどの理由により、忙しい医療現場で軽視され省略されてしまう傾向にあるのが現状であり、医療機関での観察調査によると、平均すると30%程度の低実施率であったとの結果も出ている。また手洗いに要する時間も7〜10秒間程度というのが最も多いというのが現実のようである。そこで、近年では速乾性手指消毒薬によるラッピング法や酒精綿によるスワブ法が広く普及してきている。この場合であれば比較的簡便に頻回実施が可能であるため、現実的な医療現場においては状況に合わせて最適な方法を組み合わせて実施していくことが重要となる。
○ 消毒用アルコール
鍼灸院においては皮膚の消毒に最もよく使用される消毒薬である。消毒用アルコールには一般にエタノールとイソプロパノールが用いられることが多いが、この機会にイソプロパノールのエタノールとの違いについて少し述べておく。
基本的には両者ともアルコールであるため消毒薬としての用法に違いはないのであるが、飲用可能なエタノールには酒税がかかってしまうため価格が高くなってしまう。酒税を免れるため「エタノール」と表記して販売されている場合でも、少量ではあるが飲用できないメタノールやイソプロパノールまたは逆性石鹸などの他の薬剤が含有されている場合があるので、消毒用エタノールの飲用は避けておくことをおすすめする。
イソプロパノールはエタノールと比較して消毒効果は2倍近くあるのであるが、毒性も強い。
アルコールにより細菌を死滅させる仕組みは、アルコールが細菌の細胞壁や細胞膜を通過して細胞内の水分と置き換わった後に揮発することによる脱水作用と、構成蛋白質の不安定化によるものである。よって濃度100%の無水アルコールよりも蒸留水で70〜80%程度に希釈した方が細菌内の水分となじみやすくなり最も消毒効果が高まるのである。濃度を薄めることにより効果が増すとは少し面白くも感じるものである。ただし、芽胞を形成するボツリヌス菌や破傷風菌などには消毒効果は発揮できない。
ウイルスに対するアルコールによる消毒の仕組みは、脂質二重膜でできたエンベロープを溶解してしまうことにより感染力を奪うのである。よってエンベロープを持つHIVウイルスやインフルエンザウイルスに対しては消毒効果が期待できるが、エンベロープを有しないノロウイルスなどには酒精綿による清拭や霧吹きによる散布程度では消毒効果は望めない。ウイルスに対しては100%の無水アルコールの方が消毒効果は高いようである。
この様にアルコール消毒は有効ではあるが、完璧なものではないため「消毒したから大丈夫」と過信しすぎてはならない。なおアルコールによるB型肝炎ウイルスへの消毒効果は無効であることがすでに証明されていることも、忘れてはならない事実である。
○ 高圧蒸気滅菌(オートクレイブ)
鍼灸院などで多く普及している滅菌方法である。しかし、オートクレイブも完璧なものではなく、過信してはならない。
鍼や鍼管にB型肝炎ウイルスに汚染された血液が付着していた場合、滅菌前に完全に汚染血液を洗浄していないと、器具に付着した汚染血液が血餅状態となりウイルスを保護し高圧蒸気滅菌後も感染能力を維持する可能性があるのである。したがって滅菌前の器具の洗浄は重要である。滅菌前に使用済み鍼を洗浄することは可能であるが、作業中の針刺事故の可能性があり非常に危険である。また鍼管に至っては管内に付着した汚染血液を完全に洗浄するのは不可能に等しい。
よっていかに高圧蒸気滅菌済みとはいえ、鍼や鍼管の使いまわしは安全とは言い難い。現在の医療において患者の体内に入るメスや注射針は使い捨てにするのがすでに一般的な常識になっており、鍼灸器具もこれに倣うべきである。
以上の理由により当治療院では鍼や鍼管のみならず、鍼皿も含めて鍼治療に使用する器具は全て単回使用の使い捨ての器具を採用している。
★ 渋谷区恵比寿でマタニティーの腰痛など、妊娠中のつわり、むくみの鍼灸マッサージ治療で評判です!!
Up Date:2011年10月08日(土) by 管理者 at 18時53分 パーマリンク
衛生管理 前里 博光 [衛生管理]
衛生管理 2011年9月
前里博光
【はじめに】
一言で衛生管理と言っても、内容はあまりにも幅が広いものである。例とするならば食品や生活環境における公害問題も、公衆衛生と呼ばれるカテゴリーに加わるものである。我々鍼灸あん摩マッサージ指圧師の国家試験においても、衛生学の範囲は基礎医学に次ぐといっても過言ではないほど、出題数は多い。今回は我々鍼灸あん摩マッサージ指圧師が臨床の場で遭遇すると思われる感染症と消毒に焦点を絞ってみる。
【感染症の意義】
古来病気とは、霊的なものの仕業で引き起こされるとする考え方が強かった。人間以外の動物においても、天候に対する対処法、排泄場所の選定、身体の清潔保持、病気の際の安静がこれにあたる。
人間の場合は、なぜこのような病気にかかったのかの説明を求める欲求が強く、病気になった人々が説明を受けることによって、心理的な安心を得ることが出来るといわれている。
古くはギリシャ・ローマ時代より、ヒポクラテスやガレヌスが病気には様々な種類があり、ある病気は特定の季節や地域に多いことなどを記載しており、ヨーロッパを中心とした国々が研究を重ね、現在に至っている。しかしながら、21世紀現在においても、新しい感染症が発見され猛威を振るうなど、終焉が見えないものであることも確かである。
現代の日本では、インフルエンザ、気管支炎、肺炎、食中毒、結核、性病、エイズ、高病原性鳥インフルエンザなどが主な感染症とされている。そのうち赤痢、エイズ、マラリア、インフルエンザなどのように汚染した水や昆虫が媒介、あるいは人から人へ伝染する伝染性感染症と、膀胱炎、肺血症、破傷風のように人から人へ伝染することのない非伝染性感染症に大別される。
【感染症の分類】
感染症は、病原微生物の種類による分類、国内法規による分類、感染経路による分類などで分類される。以下に表記
真菌・・・・・・白癬菌、カンジダ、クリプトコッカス
原虫・・・・・・膣トリコモナス、マラリア、トキソプラズマ
スピロヘータ・・梅毒トレポネーマ、黄疸出血性レプトスピラ
細菌(以下5項目)
グラム陽性球菌・・ブドウ球菌、連鎖球菌、肺炎球菌
グラム陰性球菌・・淋菌、髄膜炎菌
グラム陽性球菌・・ジフテリア菌、炭疽菌、ポツリヌス菌、結核菌
破傷風菌
グラム陰性球菌・・赤痢菌、腸チフス菌、パラチフス菌、ゲルトネル腸
炎菌、ネズミチフス菌、大腸菌、コレラ菌、
マイコプラズマ
リケッチア・・・・発疹チフス、発疹熱、ツツガムシ病
クラミジア・・・・オウム病、鼠径リンパ肉芽腫、トラコーマ
ウイルス・・・・・日本脳炎ウイルス、ポリオウイルス、コクサッキー
ウイルス、エコーウイルス、ライノウイルス、A、B、C、D、E肝炎ウイルス、狂犬病ウイルス、インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、痘そうウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、エイズウイルス、ノロウイルス
その他・・・・・・重症急性呼吸器症候群(SARS)、エボラ出血熱
ウエストナイル熱
上記した病原体の主な潜伏期
食中毒
ブドウ球菌の場合・・・・3時間
その他の場合・・・・・・12〜24時間
コレラ、赤痢・・・・・・・・1〜3日
マイコプラズマ肺炎・・・・・1〜2週
結核・・・・・・・・・・・・4〜6週
麻疹・・・・・・・・・・・・10日
インフルエンザ・・・・・・・1〜2日
流行性耳下腺炎、風疹・・・・2〜3週
A型肝炎・・・・・・・・・・1か月
B型肝炎・・・・・・・・・・3か月
エイズ・・・・・・・・・・・2〜3年
感染症は以下の3つ因子の関わりで引き起こされるとされている
1. 感染源:病原体が存在し、これが増殖する場である感染源(患者、保菌者、感染動物など)があること
2. 感染経路:感染経路(水、食物、昆虫、飛沫など)があること
3. 宿主の感受性:その病原体に対して感受性のある個体が存在すること。
この3条件がクリアできれば、感染症の発生率は下がるとされている。
我々鍼灸あん摩マッサージ指圧師は食品の衛生管理に関わることは、一部の例外を除いて殆ど無いが、施術を素手で行う以上感染症には十分注意しなくてはならない。そのため、リスクを最小限度に抑えるためにも消毒が重要となる。
消毒法
【消毒法の定義】
日本薬局方によると消毒・殺菌・滅菌という言葉が用いられている。それぞれの意義としては、すべての微生物を殺すことを殺菌、除去することを除菌とし、殺菌と除菌を合わせて滅菌としている。
また、目的とする微生物を殺すことも殺菌、除去することを除菌としているが、この場合は消毒という言葉が用いられる。医療分野における消毒とは、病原微生物のみを殺菌・除菌し、感染対策として問題ない感染力以下にすることとしている。
【消毒の種類】
(1)物理的療法
・熱
大部分の微生物は高温に対しては抵抗力が弱く、多くは60〜65℃、30分の加熱で死滅するが、破傷風菌やポツリヌス菌などの芽胞と呼ばれる菌は、121℃、15分の高圧蒸気滅菌でようやく死滅する。
・光線
紫外線の殺菌力と赤外線の熱を併用したものである。物の表面部分や空気中の気中細菌に効果がある。また、透過力が高いためディスポーザブル製品など、包装物内部の滅菌に利用される。
・高周波
2.450±50MHzの高周波を直接照射し、発生する熱によって微生物を死滅させる方法。
・濾過
微生物よりも小さな孔経を持つフィルターを通すことにより菌を除去する方法である。
(2)化学的方法
・フェノール類
石炭酸やクレゾール石けん液など。なお人体への刺激作用が強く、石炭酸は現在ではあまり使われていない。
・逆性石けん
塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムなどがあり、これらを適当な濃度に薄めて使用する。
・アルコール類
主にエタノールとイソプラパノールが用いられている。エタノールの場合70〜80%の濃度が最も殺菌力が強い。イソプラパノールはエタノールよりも殺菌力が強いが、皮膚や目に対する刺激性が強い
・塩素系消毒剤
塩素ガス、さらし粉、次亜塩素酸ナトリウム、クロルヘキシジンなどがある。
これらの消毒剤は広い用途で使用されているが、過敏症を呈する人がいるので、注意を要する。
・ヨウ素系消毒剤
ヨードチンキやポピヨンヨードがある。塩素系よりも強い殺菌力をもち、皮膚や粘膜への刺激が少ないことから、うがい薬など一般的に広く用いられている。
・アルデヒド系消毒剤
ホルムアルデヒドやグルタルアルデヒドなどがある。高圧滅菌のできない医療器具、カテーテル、内視鏡などの消毒に用いられる。
・酸化剤
3%過酸化水素水(オキシドール)が広く使われており、主に創傷面の消毒に用いられる。
・ガス滅菌
エチレンオキサイドガスやホルマリンガスが代表的で、主に我々鍼灸師が使う鍼などのディスポーザブル製品、プラスティック製品の消毒に用いられる。
【おわりに】
先日私は某大学病院の鍼灸外来へ研修に赴きました。大学病院故、消毒などの衛生管理は徹底して行われておりました。例えば、刺鍼の際には、鍼管を当ててから切皮する。鍼体に触れてはいけない。刺鍼後は手技を加えることなく置鍼をするのみ。抜鍼時にはグローブを着用する。と言ったものでした。
また、一度でも人体に刺したものは二度と使うことなく、廃棄しておりました。手指洗浄において、エアータオルでは完全に水分を無くすのは困難であるため、必ずペーパータオルを使用することと指導を受けました。
欧米では、CNT(クリーン ニードル テクニック)と呼ばれる刺鍼方法があり、刺鍼時には指サックを用いて、患者の身体や鍼体はおろか、鍼管にすら素手では触らないという方法が一般的になってきている。
現在日本でも鍼灸師の養成校で、主に現代鍼灸を得意とする学校を中心に、刺鍼時の指サックの着用を義務付けて実技を行う学校が増えてきている。
これに対して、中医鍼灸や伝統鍼灸を得意とする学校は、現在もまだ指サックの着用は義務付けてはおりません。
伝統鍼灸や中医鍼灸のように刺鍼後も鍼に手技を加えることで、治療効果を出してきた流派はCNTや大学病院で行われている治療方法が主流、或いは義務付けになってくると厳しい状況を強いられることになってくることが予想されます。これは指サックを着用すると鍼先の微妙な感覚が失われるということが挙げられますし、手技を加えるにあたっては鍼体を触らざるを得ない部分があると思われます。
鍼灸は勿論のこと、あん摩マッサージ指圧においても、患者さんに触る以上、少なからず感染のリスクは伴います。施術者にとって感染症の予防は、何よりも手指の洗浄・消毒であり、感染のリスクは常に伴うことを念頭において施術をしていくべきなのだと思います。
★ 渋谷区恵比寿でクチコミの鍼灸・整体・指圧マッサージ
Up Date:2011年10月06日(木) by 管理者 at 17時44分 パーマリンク
消毒 澤 敬二 [衛生管理]
消毒 2011年9月
澤 敬二
●定 義
消毒とは広義では人体に有害な物質を除去または無害化することであり、広義の消毒には有害化学物質の中和(無毒化)も含まれる。
狭義では病原微生物を殺すこと(殺菌など)、または病原微生物の能力を減退させ病原性を無くすことである。すべての微生物を殺すことではない。
また類似した概念として滅菌と殺菌があり、滅菌とは病原性の有無を問わずすべての菌(細菌だけでなく、ウィルスやプリオンを含めたすべての生命体)を死滅させるか、除去することである。従って滅菌は器具に対して行うものである。病原性をなくすレベルを目的とした消毒たは異なる。一方殺菌とは菌を殺すことである。消毒の手段として殺菌が行われるが、殺菌はせずに病原性を無くすことによって消毒が達成されることがあるので、意味合いが異なる。
●消毒の基本
生体毒性や環境への残留毒性などを考慮すれば、最適な消毒法は熱を利用した方法である。熱が利用出来ない場合に限って、消毒薬を使用した消毒を行うことになる。熱が利用できない場合とは、生体の消毒、環境の消毒、非耐熱性の医療用具の消毒、および熱消毒設備のない場合などである。
ウィルスに対しては、80℃10分間の熱水処理、500〜5.000ppm次亜塩素酸ナトリュウム、消毒用エタノール、2〜3.5w/v%グルタラールで対応できる。
一般細菌に対しては80℃10分間の熱水処理、0.1〜0.2w/v%第四級アンモニュウム塩または両性界面活性剤、100〜1.000ppm次亜塩素酸ナトリュウム、消毒用エタノールで対応できる。
●主な消毒薬
高水準 @、グルタラール
中水準 A、次亜塩素酸ナトリュウム、
B、消毒用エタノール
C、ポビドニョード
D、クレゾール石鹸
低水準 E、両性界面活性剤
F、第四級アンモニュウム塩
G、クロルヘキシジン
上記消毒剤について簡易表を記す。
<殺菌スペクトル>
一般 緑膿菌 結核菌 真菌 芽胞 エンプローブ エンプローブ HBV
最近 のない小型 のある中型
ウィルス ウィルス
@ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
A ○ ○ ○ ○ △ ○ ○ ○
B ○ ○ ○ ○ × ○ ○ ○
C ○ ○ ○ ○ × ○ ○ ○
D ○ ○ ○ △ × × ○ ×
E ○ ○ △ △ × × ○ ×
F ○ ○ × △ × × ○ ×
G ○ ○ × △ × × × ×
<使用領域>
環境 金属器具 非金属 手指皮膚 粘膜 排泄物による
器具 汚染物
@ × ○ ○ × × △
A ○ × ○ × × ○
B ○ ○ ○ ○ × ×
C × × × ○ ○ ×
E ○ ○ ○ ○ ○ △
F ○ ○ ○ ○ ○ △
G ○ ○ ○ ○ × ×
*使用領域の表には、Dクレゾール石鹸は含まれていません。
○:使用可能、 △:注意して使用、 ×:使用不可
●鍼治療における消毒実験データ
皮膚消毒剤に消毒用エタノール液(以下ET)と50%イソプロピルアルコール液(以下ISO)の消毒効果および消毒手技の違いにおける消毒効果の検証。
消毒部位を前額部、前腕内側部として、それぞれ右側を消毒群、左側を対照群とし、ISO液とET液との消毒効果を検討した。消毒手技として清拭圧200G,800G、回数を1回拭き、2回拭き、3回拭きの計6郡に分け消毒効果を比較した。
前額部でISO液群の滅菌率は78.2〜88.6%、ET液群で90.9〜99.6%であり、前腕部での滅菌率はISO液群69.5〜85.7%、ET液群で95〜100%であった。
手技による消毒効果については、前額部で1回拭き200G群、2回拭き800G群、3回拭き800G群に有意差が認められたが、前腕部では6郡にさは認められなかった。(実験は関西鍼灸短期大学によるもの)
これらを踏まえてみても、消毒効果は薬剤濃度、清拭圧、清拭回数、皮膚の汚れ具合、消毒前の皮膚細菌数等に影響すると考えられる。
ET液を用いても100%とは言い切れないことから、普段使用している消毒剤、綿花の交換頻度等何気なく行っている消毒行為を見直す良い機会になりそうです。
★ 渋谷区恵比寿で一番の鍼灸整体マッサージ!!
Up Date:2011年10月04日(火) by 管理者 at 14時16分 パーマリンク
新生児・乳幼児期の特徴 前里 博光 [乳幼児]
新生児・乳幼児期の特徴 2011年7月
前里博光
・新生児とは
新生児は胎内での母体に依存した生活から、胎外での独立した生活へと、激しい生活環境に適応しなければ生存することができない。この子宮内から子宮外での生活への生理的適応が行われる時期を新生児期という。そしてこの時期にある小児を新生児と呼ぶ。生理的適応には1〜2週間を要し、正常な経過をとる場合でも、この時期に特有かつ複雑な生理的変化が認められる。
新生児の異常としては、正常な適応過程からの逸脱、胎内感染、先天異常などと言ったこの時期に特有なものが多く、人の一生の中でも最も危険の多い時期であることが知られている。
・新生児の分類
(1)出生体重による分類
1)低出生体重児
出生体重2500g未満の児
2)極低出生体重児
出生体重1500g未満の児
3)超低出生体重児
出生体重1000g未満の児
4)巨大児
出生体重4000g以上の児
※ICD−10(国際疾病分類第10版)では4500g以上の新生児を超巨大児としている
(2)在胎週数による分類
1)早産児
在胎37週未満に出生した児
ICD−10では28週未満を超早産児としている
2)正期産児
在胎37週以上42週未満に出生した児
死亡率・疾病率ともに最も低い群
3)過期産児
在胎42週以上で出生した児
胎盤機能不全に伴う問題を生じやすい
(3)成熟度による分類
1)未熟児
成熟度が不十分で、胎外生活への適応が困難な状態で出生した新生児をいう。
2)成熟児
身体機能が十分に成熟し、胎外生活に支障なく適応できる新生児をいう
3)ジスマチュア児
胎内発育遅延児の中で、特に皮膚が乾燥し、ひび割れ、しわが多く痩せているなど、胎盤機能不全症候群に伴う臨床所見を持つ新生児をいう
・新生児の特徴
1)体格
新生児は年長児に比べ身長に対する頭部の比率が大きく、四肢が短い。成熟児ではおよそ4頭身、超低出生体重児では3頭身に近い。また、年長児や成人に比べ、単位体重あたりの体表面積が大きく、体温調節や不感蒸泄の特徴に大きく影響する。
出生体重の平均値は約3000gで、男児の方が女児よりやや重い。生後2〜4日間は体重が減少するが、出生体重の5〜10%程度の減少後清譲治の多くは体重増加が始まる。
出生時の平均身長は約50cmであり、頭囲の平均は約33cmである。
2)骨重積
胎児の頭蓋骨は比較的柔らかく外圧に応じて変形する。このため出生時の頭部は経腟分娩の場合、後上方に伸びた形となり、骨縫合の位置で頭蓋骨が重なり合っている。
3)大泉門
前頭部の環状縫合と矢状縫合の交点には菱形の柔らかい間隙があり、大泉門と呼ばれている。これは通常1歳6か月ごろまでに閉鎖する。
4)産瘤
分娩時の先進部位に一致して、頭部に浮腫性の腫脹を認めることがある。これは産瘤と呼ばれ、生後数日以内に消失する。
5)皮膚
出生時の皮膚は、成熟児では多少なりとも胎脂に覆われ、頭部およびその他の部位に浮腫が見られる。皮膚は出生後に乾燥し、生後2〜3日で落屑が始まる。
生後2〜3日頃から中毒性紅班が見られることがある。また、蒙古斑、稗粒腫などがしばしば見られる。
6)呼吸・循環
生後数時間のうちに大きく変化をするが、心拍数は120〜140/分、呼吸数は40〜50/分程度に安定する。
7)母体や胎盤ホルモンからの影響
女児では大陰唇、陰核の腫脹や月経様出血を認めることがある。また、男女児ともに母体のプロラクチンの影響により、乳腺の拡大や乳汁の分泌をみることがある。
8)姿勢
四肢は通常軽く曲げて半屈曲位をしめす
9)神経反射
通常新生児には、やがて消失していく独特の神経反射が見られる。モロー反射では驚愕時などに、物を抱擁するような動きがみられる。吸啜反射では口に乳首などを入れると規則的な吸啜運動がみられる。
また、空腹時に上下の口唇、左右の口角になどに指で触れると、口を開いてその指の方向に頭を向ける追いかけ反射や、新生児の手掌に指を当てると反射的に握りしめる把握反射などがある。
10)知覚
ある程度の視力は新生児期から認められており、聴覚についても姙娠中期の胎内ですでに音声への反応が認められている。
・乳児期の発育
乳児期の1年間に、身長は約1.5倍に、体重は3倍になる。体重増加は乳児期前半に著しく、身長に対して体重増加が大きいため、体つきは次第に丸みを帯び、皮下脂肪も厚くなる。頭囲は相対的にかなりの程度まで成長し、頭の大きい体形となる。胸囲は出生時には頭囲よりもやや小さいが、その後まもなく同等となる。乳幼児期後半では頭囲よりも明らかに大きくなるが、横断面は成人と異なり円形に近い。
乳児期の体重増加は必ずしも出生体重に対して同様な増加をするとは限らず、出生体重の大小にかかわらず、半年後には比較的中央に近づくことも多く見られる。
・幼児期の発育
幼児期では発育の速さが乳児期に比べると、緩徐になっていき学童期の安定した状態へと推移していく。一方で乳児期と比べて幼児期は体重増加よりも身長の伸びが目立ち、幼児期の皮下脂肪厚は年齢によって減少するため、体つきは乳児期後半に比べて細くなる傾向にある。頭部の発育は幼児期の後半では成人の80%に達し、下肢の長さの割合も徐々に大きくなってくる。横断面に関しては左右経が前後経よりも大きくなる。
乳児期・幼児期ともに栄養状態との関連は密接であり発展途上国における低栄養状態と易感染性の合併が問題になっている。
一方我が国では栄養過剰と運動不足による肥満児の問題がクローズアップされている。しかしながら、栄養状態が良好でも、愛情剥脱や虐待などの心理的ストレスが内分泌機能に大きな影響を及ぼし、発育不良が伴うことが明らかにされている。
★ 渋谷区恵比寿で一番の鍼灸整体マッサージ!!
Up Date:2011年09月02日(金) by 管理者 at 11時34分 パーマリンク
乳幼児 金城 実 [乳幼児]
乳幼児 2011年7月
金城 実
我々が患者さんと向き合う際に「子供と高齢者の生理現象は通常成人と同じと思ってはならない」または「子供は単純に大人を小さくした存在ではない」というのが常識となっている。そこで今回は、出産直後から就学前の乳幼児期の身体的および精神的な発達の特徴に注目してまとめていくこととする。
母子保健法では出生後28日未満を新生児、1歳未満を乳児と定め、さらに児童福祉法では1歳から小学校就学までの期間を幼児としている。また出生後7日未満を早期新生児とよぶこともある。
乳幼児の発達速度には個人差があるのが普通であり、能力の習得速度と知能とは全くの無関係と考えられているため、安易に他の子と比較してはならない。
【 早期新生児 】
○ 産 瘤
帝王切開ではない通常経膣分娩直後の新生児は、大抵の場合両親が心配するほど傷だらけの状態で出生してくることが多い。これは産瘤と呼ばれる現象であり、娩出時の子宮内圧や狭い産道を通過する際に付いた擦過傷や腫脹や変形などであり、大抵の場合数日で回復するので心配はない。
○ 新生児黄疸
新生児は赤ちゃんと呼ばれるように皮膚の色が赤く見えるが、これは血液中の赤血球濃度が大人よりも大量に存在しているからである。母体内にいる際に、胎盤を通して間接的にしか呼吸ができなかったために大量の赤血球を必要としたのである。しかし、出生後は直接自力呼吸が可能となるため、不必要となった赤血球を分解する際に大量にビリルビンが産生されてしまい黄疸症状が現れてしまうのである。
通常は新生児生理的黄疸と呼ばれ生後2〜3日頃から発症し、1週間から10日程で消失していく。生後24時間以内に発症する黄疸を早発黄疸、生後2週間以降に現れるものを遷延黄疸という。10日以上経過しても黄疸症状が改善なされない場合は、ビリルビン濃度が高すぎるために起こる核黄疸が疑われる場合がある。核黄疸はビリルビンが大脳基底核に沈着し神経障害を起こすものであり、重症の場合は死亡する危険性もある。
【 乳幼児の運動能力 】
出生直後の新生児の運動能力は大脳がまだ未熟なため随意的な身体操作は不可能であり、基本的に自律神経による不随意的原始反射行動のみにより行われている。原始反射は大脳の成長に伴いしだいに抑制されてゆき、生後6ヵ月頃には見られなくなってゆく。
○ 主な原始反射の種類
* 手掌把握反射(新生児〜4ヵ月) : 手掌を刺激すると強く把握する。逆に手背を刺激すると手指を進展させる。
* 口先反射(新生児〜4ヵ月) : 口唇を軽く叩くと授乳に備え口先を尖らせる。
* 追っかけ反射(新生児〜4ヵ月) : 口唇周辺の上下左右のいずれかを軽く刺激すると、口を開きその方向に顔を向ける。
* 吸啜反射(新生児〜4ヵ月) : 口中に指やおしゃぶりを挿入すると、吸引する。
* モロ反射(新生児〜4ヵ月) : 水平に抱いた状態で頭部を数cm下げると、上下肢を外転させ激しく動かし屈曲する。首が座るころには消失する。
* 自動歩行反射(新生児〜6ヵ月) : 身体を抱えたまま足底を床に押し付けると踏ん張るように脚を伸展させる。そのまま身体を前方に少し傾けると歩行様運動を行う。
* 足底把握反射(新生児〜10ヵ月) : 足底を圧迫すると足趾が屈曲する。
* バビンスキー反射(新生児〜2歳) : 足底外側を踵から先端に向けこすると、足趾を伸展および外転させる。
* 緊張頸反射(1ヵ月〜6ヵ月) : 頭部を回旋させると、同側の上下肢を伸展させ反対側の上下肢を屈曲する。寝返り動作が可能になるころに消失する。
大脳の成長に伴い徐々に原始反射が抑制され、自身の意思による随意運動能力を獲得して行く。
生後1ヵ月頃から少しずつ頭部を左右に向けられるようになる。
生後3ヵ月頃には頸が座り、腹臥位で上半身を支え頭部を挙げることが可能となり、うつ伏せから仰向けへの寝返りができるようになる。また両手を顔の前で合わせるなどの簡単な動作が可能となる。
6ヵ月頃には寝返りを完全に習得し座位保持が可能となり、徐々に四つん這いでの移動「はいはい」ができるようになってくる。最初はうまく前へ進めずに、かえって後方へ後退してしまうこともあるが、すぐに上達してゆく。中には臀部を使い座位のまま移動する手段を身に付ける子もいる。手で物を握ったり離したりすることができるようになり、左右の手で持ち替えたりできるようになるが、まだ指を個別に動かすことはできない。
9ヵ月頃になると「はいはい」の達人となり、階段もよじ登ってしまうようになる。徐々に足底を床に付け足を踏ん張り腰を浮かせるようになり、つかまり立ちを始める子もいる。
また手指を個別に動かすことが可能になるため、手指を使い物を摘むことが可能となり、人差指で人や物を指差すこともできる。
1歳になる頃には個人差はあるが、つかまり立ちを始め、数歩歩けるようになってくる。歩き始めの頃は大脳を使い一歩一歩注意しながら慎重に足を運んでいるが、動作が小脳に記憶されてくると特に意識しなくても自然に歩行が可能となってくる。
2歳児ではまだバランスを取りながらではあるが、二作歩行を習得し走ったり後ろ歩きや階段昇降もできるようになる。
3歳では大人と同じような歩き方ができるようになり、歩幅も広がってくる。またこの頃には片足立ちも可能となる。
4歳以降は遊び中でケンケンやスキップ、ジャンプやよじ登りなど様々な運動機能を獲得して行くこととなる。
【 乳児の睡眠 】
新生児には昼夜の概念がなく、一日の大半の時間を睡眠に費やしている。最初の頃は2〜3時間程度の短い睡眠を繰り返し、徐々に長い睡眠をとるようになってくる。睡眠時間には個人差があり、8時間程度しか寝ない子もいれば22時間の睡眠を必要とする子もいる。いずれにせよ大人とは全く異なる睡眠様式をとるため、親が睡眠不足に悩まされることとなるのである。
生後3ヵ月でおよそ3〜4回の睡眠周期を繰り返すといわれており、1歳で2〜3回程度、3歳頃には昼寝をしなくてもよくなる。
睡眠が重要であることは間違いないのであるが、睡眠の役割などについては様々な研究がなされているが、いまだ明確な答えは得られていない。面白いのは新生児の睡眠時間の約半分は夢を見ている状態のレム睡眠であり、成長とともにレム睡眠の割合が減少していくそうである。
【 乳幼児の言語能力 】
新生児にとっての唯一の意思伝達手段は、泣く行為のみである。これにより空腹や不快感を親に伝えるのである。よく観察していると、痛みを訴える時と空腹を訴える場合など泣き方の違いがうかがえる。
生後2週間〜3ヵ月程度の時期に、腹部の疝痛により泣きだす場合が見られる。これは腸管内にガスが停留したためのものであり、有効な緩和策はないが成長とともに自然に改善されてゆく。
生後6カ月頃までは母国語にない音も全て聞き取っているそうだが、しだいに両親の話す母国語の発音のみに集中するようになってくる。難聴などの聴覚障害があると言語の習得は大幅に遅れてしまう。
言語とはいえないが、笑顔に笑い返したりすることができるようになってくる。
生後6ヵ月頃から人の声や物音に対して興味を示してその方向を向き、9ヵ月頃には名前を呼ぶと振り返る。まだ意味のない喃語しかしゃべれないが、物の名前や言葉の意味を理解している。しだいに声と身振りで簡単な意思表示ができるようになる。
1歳頃から単語を話すようになり、2歳頃には二つの単語をつなげて話すようになり、3歳では自身の名前や年齢が答えられるようになる。
言語は文字を書くより前に読むことを覚えるように、話せなくとも言葉の意味を理解することはだいぶ早くから行われているのである。
【 乳児の食事 】
哺乳類の仲間である我々の人間にとって、新生児期から乳児期の栄養や水分摂取の基本的な手段は授乳であり、母乳栄養は特に理想的とされている。
最初の約3日間の母乳は黄色く脂肪分の多い初乳が少量でてくる。この初乳は少量であるが脂肪分や蛋白質が濃厚であり、母親の持つ酵素や抗体も含まれているため少量ではあるが新生児にとっては理想的な栄養摂取法といえる。時々初産の親が初乳の量が少量であることに不安を感じ、人工乳を追加してしまう場合が見られるが、初乳の時期は少量でも十分な栄養摂取が可能である。
初乳はしだいに白い母乳へと変化してゆき量も豊富になってゆく。母乳は人工乳に比べ胃腸炎になりにくくアレルギーの防止にもなる。また授乳した女性は乳がんの発生率が低く、母乳により成長した子が大人になった際に糖尿病や炎症性の内臓疾患への罹患率が低下するとの研究結果も出ているそうである。
母乳が出にくい場合は産科院や助産師によるマッサージ指導が有効である。マッサージは乳房部だけではなく胸脇部や背部にも行うとより効果的である。ちなみに乳房の大きさと授乳能力とは全く関係はない。
栄養面からいえば人工乳によりも母乳の方が優れているのであるが、母乳栄養法は母親にかかる負担が大きいため、人工乳による人工栄養保哺育の可能である。人工栄養哺育の利点は外出先での授乳が容易になり、母親の職場復帰が可能となる。また哺乳瓶であれば父親による授乳も可能になるなど母親の身体的および精神的負担がかなり軽減される。
人工栄養哺育の注意点は哺乳瓶の殺菌と、栄養過多が挙げられる。母乳では過食はみられないが、人工乳の場合は肥満や嘔吐に注意しなくてはならない。
生後4〜6ヵ月頃から少しずつ固形食品の摂取が可能になる。3ヵ月未満の子にはまだ咀嚼や嚥下に必要な筋肉がまだ備わっていないため、離乳食を与えてしまうと誤飲性肺炎やアレルギーの危険が生ずる。また6ヵ月未満の場合、乳製品や濃い味の食品は避けるようにし、さらに小児脂肪便症の危険があるため小麦などに含まれるグルテンを含む食品も避けるべきである。
乳児が授乳だけでは満足しなくなったり、食品に興味を持ち始める頃から徐々に離乳食を開始するのがよいとされている。乳歯が生えてくると唾液が多く出てくるため、こまめな水分補給が必要となる。
徐々に成長して離乳して大人と同様の食事をとるようになってくると、問題となるのが食習慣である。乳幼児期に摂取する食品は基本的に親により与えられるものであり、当然ながら食習慣も親の影響を大きく受けることとなる。この時期に偏食や肥満などの不適切な食習慣が身についてしまうと、その影響は将来にわたる可能性が高くなってくる。子供の食習慣は全面的に親の責任である。
【 乳幼児の精神発達と社会性 】
生まれたばかりの新生児には自己と他者を区別することができていないが、すぐに泣くことにより空腹などの欲求が満たされることを覚えるようになる。
生後3ヵ月頃には人の顔に注意を払うようになり、微笑み返したりする。
6ヵ月頃には自身の名前を認識し、8〜10ヵ月頃には親と他人を区別できるようになり人見知りをするようになる。この頃はまだ基本的に自分の前に見えているものしか認識できず、背後など視覚外のものへの認識は不可能である。
自我が芽生えてくるのは2歳くらいからとされており、新生児期は自己と親が個別の存在であることも理解しておらず、周囲の反応を観察しながら自身の存在を意識するようになっていく。自我の確認方法としてよく用いられるのが鏡に映る自身の姿を見た際の反応であり、1歳児では鏡に写った自身を他人と思い遊ぼうとしたりコミュニケーションを取ろうとしたりするのに対し、2歳児では鏡や写真に写った自身の姿を指して自分の名前を言うことができる。
2歳くらいになり自我が芽生えてくると子供なりに性別の存在にも気が付き始め、3歳までには自分および他人の性別を認識できるようになり、4歳頃には自分が一生男性あるいは女性として振る舞うことを理解できるようになる。自分の性別を認識できるようになると男児は男児らしい玩具や遊びを好み、女児も性別にふさわしい服装や行動をとるようになってくる。性別による行動や思考の違いはホルモンなどによる生物学的要因と、両親や社会環境による性役割行動の強化により生じるものである。
1歳〜3歳の子はだ同年代の子と一緒に遊ぶことができない。これは互いを同じような遊び方をする仲間と認識できていないため、隣にいてもそれぞれが一人遊びをするいわゆる「平行遊び」となる。自我が芽生えてくると独占欲が芽生え始め、玩具などを独り占めしてしまい兄弟など他の子との喧嘩の原因となる。3歳くらいになると善悪の認識ができ自身の行動に自制が利くようになり、ボールなど一つの玩具を他の子と一緒に使用し同じ遊びをする「協調遊び」ができるようになる。
自我に目覚めた2〜3歳くらいになると、段々と親の言うことに反抗し癇癪を起すようになってくる。これは彼らに独立心が芽生え始めたためであり、自分の事は何でも自分で決定して行動したいと考えているのだが、未熟ゆえに思うように事がならないことに対し、怒りや悲しみなどの感情が抑制できずに癇癪となってしまうのである。成長し言語能力が備わり感情の制御が可能になると徐々に癇癪を起さなくなってくる。
【 母子健康手帳 】
住所地の市区町村に妊娠届けを提出すると、国籍や年齢に関わらず母子保健法に基づき交付される。この手帳には出産までの妊婦の健康状態や出産時の記録、出産後の予防接種や成長状況等を記入する。入園・入学の際に使用することもある。
1942年から日本独自に発展した母子健康手帳であったが、母子の健康に貢献する優位性が認められ海外でも普及され始めてきている。1989年にインドネシアで試験的に手帳の交付を開始すると、数年間で乳幼児の死亡率が半減する成果が得られたという。その後アジアを中心に世界中の国々で採用されるようになってきた。
★ 渋谷区恵比寿でクチコミの鍼灸・整体・指圧マッサージ
Up Date: by 管理者 at 11時28分 パーマリンク
【 過去の記事へ 】



